カフェ開業のエリアと物件探し
2015年8月13日
カフェをどこで開業するか?カフェを立ち上げるにあたっての物件探しのコツ、内外装、什器備品の賢い揃え方など、箱もの作りについて解説します。
◎どこでカフェを開くのか?
物件探しは、お店の方向性作りと、オープン後の売上を左右する大事な要素です。その費用は、開業資金のおおよそ3割~5割。開業資金の実に半分近くを占めることもあるわけですから、それだけ力をいれなくてはならず、覚悟も必要です。
探すポイントは①予算、②エリア(立地)、③店舗の形態。以上のイメージを固めた上で、不動産業者に自分の意思を伝えましょう。
まず、最初にいっておきますが、集客できる希望エリアで、店内の雰囲気がよく、それでいて家賃が予算内に収まる店舗・・・。そんな三拍子揃った物件には、よほど運が良くない限りすぐにはお目にかかれません。半年か1年ぐらいは探し回る覚悟が必要です。
「カフェを始めたい!」と思ったら、ほかの準備作業(資金を貯める、スクールに通って技術を磨く、コンセプトを考える)と並行して物件探しにとりかかるといいでしょう。
まずは予算についてです。大まかにいって、物件にまつわる予算の内訳は、①翌月分を前払いする前家賃、②不動産仲介手数料(家賃の一ヶ月分相当)、③保証金(敷金)です。
保証金とはどんなものでしょう?これは「商業用店舗」として物件を借りる場合に必要な資金です。敷金と同じ意味合いで、地域や対象となる物件によって異なりますが、家賃の6~12ヶ月ぶんぐらいで、都内ではおおよそ10ヶ月分です。
解約するとき、物件に修繕箇所があればその分を差し引かれた金額が戻ってきます。ただ、この保証金は、あなたのカフェが仮に移転したとしても、次の物件を借りるときにまた必要になる資金です。
つまり、初期投資に必要な多額の保証金は、カフェ業を賃貸物件で続けていく限り、貸し主に預け続けるお金だと考えておかなければなりません。店舗の契約時に必要なお金は、この保証金も含めて最大で家賃の14ヶ月分、少なくとも8ヶ月分程度かかることになります。
次に、エリアです。カフェ候補地は、だいたい「繁華街型」「オフィス街型」「郊外型」の3つに区分されます。都内を例にして分類してみましょう。繁華街型は、若年層に人気のスポットで、常連客にプラスして一見の買い物客も多数集客できる青山や自由が丘、下北沢あたり。オフィス街型はだいたい山手線の内側で、ビジネスマンや学生が多い日比谷、神田など昼間人口の多いエリアです。また郊外型は、私鉄沿線や府中、多摩地区など東京の西部エリアです。
急行が停車する駅かどうかなどで一概にはいえませんが、家賃の相場は、繁華街型→オフィス街型→郊外型と安くなっていく傾向があります。
人気エリア、南青山3丁目あたりで12坪程度の店舗を賃貸する場合、仮に坪単価を8万円と低く見積もっても家賃だけで96万円もかかります。開業時の保証金などもあわせて、店舗への初期投資だけで1000万円は覚悟しないといけません。
これに、内外装費や仕入れ代、広告費に運転資金と、ほかに必要な開業資金を考えると、最低でも1500万円~2000万円は用意できないと青山あたりでの出店は不可能ということになりまうs。誰もが考える人気エリアへの出店は、相当な資金と覚悟がないと難しいといわざるをえません。
◎新規での繁華街への出店はそもそも可能なのか?
それでも出店したとして・・・。一般に家賃の10倍の売上を上げることがカフェ経営の理想という法則があり、それにあてはめて考えると、南青山の例では、12坪の狭いお店ながら月に960万円も売上が必要という計算になります。
平均客単価を2000円と高めに見ても、月に4800人、休日なぢで1日平均160人は捌かなければならないことになります。
ラーメン店のようなお客さんの回転の速い業態ならともかく、小規模なカフェにはちょっとありえないレベルの数字になってしまいます。そもそも日に160人ものお客さんを捌くには、スタッフも何人も雇わなければ現実的には不可能です。
ただ、「家賃x10倍=月商」という法則は、杓子定規にあてはめる必要はなく、「売上が上がるほど倍数は低くて良い」と考えると少しはハードルも低くなります。利益率は低くなっても、トータルの利益額が増えれば経営は成り立つわけですから、青山のように極端に坪単価が高い場合は、月の売上の目安を家賃の5倍~6倍と考えても良いでしょう。もちろん、仕入れ原価や人件費、光熱費など諸々の経費を差し引いて利益がしっかりと残るという条件になりますが・・。
整理すると、実績も知名度もない新規出店では、青山、表参道のような超人気スポットは敷居が高すぎるといえます。それでもチャレンジしたいという人は、集客を見込めるだけのしっかりとしたメニューやアイデアを用意し、その上で高い家賃ぶんをカバーできるようにほかの経費を圧縮する工夫も必要になるということです。
現実的なのは、まずオフィス街や郊外で開店し、ビジネスとしてしっかりと成功した後で、もちろん資金も蓄えてから、人気エリアに引っ越すなり2号店をオープンさせるとう方法です。この場合は、すでに支持してくれている常連客に告知もできますし、口コミ効果も期待できます。
2015年8月13日
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