人造砥石の製造工程
2014年7月30日
◎原料を配給することから
もともと人造砥石は、天然砥石に変わり得るものとして開発が始まったのですが、今では、代用品ではなく、すぐれた工業製品としての砥石となっています。しかし、そこに至るまでには様々な試行錯誤がありました。天然砥石のような研ぎを再現して、しかもその研ぎ加減が安定するためには「砥粒」としての研磨剤に何を使うか、そしてそれを固める結合剤に何を選ぶか、さらにその割合をどうするか、といったことが研究されてきました。
◎1.試験配合(しけんはいごう)
どの研磨材料とどの結合剤をどのように配合するかによって品質が決まる。
◎2.混合撹拌(こんごうかくはん)
超微粒子の研磨剤と結合剤を、製品の粒度によって混合し、撹拌(かくはん)する。
◎3.プレス成形
撹拌(かくはん)した原料に機械で圧力を加え、製品の大きさに成形する。
◎4.乾燥
成形したものを乾燥させる。この時点でほぼ均一になっているのがわかる。
◎5.焼成
専用の大きな窯(かま)で乾燥させたものを焼く。大切な工程
◎6.仕上成形
焼き上がった砥石を冷まして、仕上げの成形をする。円盤砥石を使うところは天然砥石と同じ。
◎7.検査と梱包
砥石としての面を精密に整えたら、製品として問題がないかを検査し、梱包して出荷する。
◎砥石の粗さ細かさを自在に
工業製品である人造砥石の大きな特徴は、均一性の他に、粒度つまり#(シャープ)何番かということを、原材料の選定などによって、自在に作り出せることです。
人造砥石は、それぞれは荒砥、中砥、仕上砥の区別とともに、必ずその粒度がシャープの数字によって示されています。
天然砥石は、掘り出した石がどのくらいの粒度になるのかを後から見極めるが、人造砥石は、製品化しようとする粒度を目指して、先に製造方法を考えます。研磨剤と結合剤の選び方、混合方法、成形や焼成方法などを変えることで、はっきりとした数字として、粒度を示すことができます。
荒砥は#350以下、荒砥に近い中砥は#500~1000以下、仕上砥に近い中砥は#1200~2000、仕上砥は、#3000以上というのが目安です。
◎変質しにくい製品を選ぶ
かつて天然砥石の採掘・生産を行っていた業者が、それまでの知識と経験を活かして人造砥石製造を始めた場合が多い。そうした業者が研究を重ねてさまざまな製法が開発され、現在ではおもに、アルミナ系、炭化ケイ素系、ダイヤモンド系などの人造砥石が知られています。
どの人造砥石にも一長一短がありますが、温度変化にさらされたり、水や湯に浸したりしても変質しにくい製品を選ぶことが大切でしょう。長時間水分を吸収して砥粒が水に溶けだしたり、割れたりしないものを選びましょう。もちろん自分の研ぎの用途に合わせて、#(粒度)の数字をしっかりと選ぶことも大切です。
2014年7月30日
この記事の内容はいかがでしたか?
この記事が参考になりましたら下記のソーシャルメディアボタンで共有していただけると嬉しいです!
人造砥石の製造工程の前後の投稿記事
≪ 前の記事:砥石の普及と種類 を読む
≫ 次の記事:洋食器を揃える際のポイント を読む
特集
- 開業時の設備費や厨房機器は?
-
どんなお店だとしても、カフェのスタイルを取るなら、エスプレッソマシーンは必須。カフェの顔として、まずエスプレッソやカプチーノはメニューから外せないでしょう。
続きを読む 2015年8月19日
- 開業時の内外装費は極力抑える
-
物件費用について開業資金の多くを占めるのは、内外装費です。そのポイントについて解説します。
続きを読む 2015年8月18日
- 好立地条件も店のコンセプト次第
-
カフェ開業の第一歩どこに開店するのか?繁華街や人気スポット等の高額物件エリアに続き、オフィス街では、坪単価は2万円~3万円程度と一気に下がり、また地方の中枢年や、住宅街では、坪単価は1万円~2.5万円が相場とさらに下がります。問題は、家賃が高い「人気エリア」なら、それに比例して集客も売り上げも上がるのかという点です。
続きを読む 2015年8月14日
- カフェ開業のエリアと物件探し
-
物件探しは、お店の方向性作りと、オープン後の売上を左右する大事な要素です。その費用は、開業資金のおおよそ3割~5割。開業資金の実に半分近くを占めることもあるわけですから、それだけ力をいれなくてはならず、覚悟も必要です
続きを読む 2015年8月13日
- 店作りはオーナーのコンセプト
-
カフェほど、オーナーの「こだわり」が店の雰囲気を左右し、お客さんへのアピール材料になる業態はありません。カフェづくりで最も大切なことは、店の「コンセプト=店のこだわり」を決めることだと以前にもお伝えしました。それさえ頭の中でしっかりイメージできれば、半分はオープンにこぎつけたようなものです。
続きを読む 2015年8月12日
- 特殊包丁の特徴と用途
-
特殊包丁の特徴と用途。特殊包丁は、仕事を効率的に行うために、用途に合わせて開発された専用の包丁で、ハモ骨切り包丁やウナギ包丁、すし切り包丁などがあります。それぞれ個性的な形をしているものが多く、扱い方も難しが、これらの包丁と使いこなせるようになると格段に仕事の効率があがります。
続きを読む 2015年8月2日
- 薄刃包丁の特徴と用途
-
薄刃包丁は、むく、刻む、へぐ、そぐと野菜の仕事には欠かせない。プロの料理人が始めて手にするのもこの薄刃包丁です。野菜の仕事を通じ、包丁の扱い方や刃の動かし方、手の添え方など、包丁の基本を学んでいきます。薄刃包丁になれ、使いこなせるようになってはじめて、他の包丁も扱うことができるようになります。そのため、自分の手に合った使いやすい包丁を選ぶ事が大切です。
続きを読む 2015年8月2日
- 刺身包丁の特徴と用途
-
刺身包丁は、その名のとおり、刺身を切りつけるための包丁です。刺身は、魚の鮮度やおいしさを切り方ひとつで見せるという、きわめてシンプルな料理であり、それだけに包丁の切れ味が問われる料理でもあります。
続きを読む 2015年8月1日
- 出刃包丁の特徴と用途
-
出刃包丁は、ウロコを取る、頭を切り落とす、内蔵の処理をする、身をおろすと、魚の下ごしらえ全般に使う包丁です。また甲羅を割ったり、鶏をさばいたり、骨をきったりする時にも使います。
続きを読む 2015年7月30日