売れる店の秘訣は「付加価値」
2015年6月27日
成熟期を迎え過当競争にある、いまのカフェ業界。勝っている店の秘訣は「付加価値」にあり。
◎売れる店舗の付加価値の秘訣とは
この十数年のカフェの変貌とカフェ業界の現状について押さえておきたいところですね。「カフェ」と聞くと、実に様々な店のスタイルを連想します。「北欧デザインのソファや証明がある空間で、濃厚なコーヒーをサービスするお店」「有機酵母のパンを作るベーカリーがあって、サラダと一緒にゆっくり味わえるお店」「お洒落でかわいいオープンテラスにテーブルを出した、日替わりのランチメニューとデザートが充実しているお店」などなど。 オーナーの数だけカフェがあるといっても過言ではありません。
現在では、全国の喫茶・カフェの店舗数は約9万店にも達しています(フランチャイズチェーン「FC」を含む)。6万店の中華料理店、4万店のそば・うどん店という数字に比べても、いかにカフェが多いかおわかりでしょう。「成熟期を迎えたカフェは、一種の飽和状態で、淘汰も厳しくなっていくことが考えられます。
これだけの数の店が乱立する現在のカフェ業界は、当然、一種の過当競争下にあるといえます。つまり、明確なコンセプトもないままに開業してしまうと、生き残り競争に勝てないというシビアな時代に突入しているのです。
ところで、現在のカフェブームには、色々と理由が考えられます。会社一途の就業意識が変わり、飲食業をはじめ、独立思考の若い男女が増えていること。地価の下落の影響で、家賃も開業時に必要な保証金も下落しており、また、厨房機器や什器備品の中古品やリース店が増え、以前と比べると安い賃金で開業できるようになったことも独立の機運を後押ししています。
消費者側のニーズ、嗜好の変化ももちろん見逃せません。ちょうどオイルショック後にインスタントコーヒーからレギュラーコーヒーへと嗜好が変化して、喫茶店が第一次ブームを迎えたのと同様に、90年代後半辺りから、エスプレッソコーヒーが注目を集め、女性や若者の支持を得ました。エスプレッソコーヒーは「カフェラテ」「カプチーノ」などバリエーションを広げながら、いまやオジサンにも違和感のない当たり前の商品にまで成長しました。「スポーツ新聞・有線放送・おしぼり」といった金太郎飴的な喫茶店は、もう過去の話です。
こうした状況のなかで、若い男女がオーナーを務めるカフェが、同性や同年代のお客さんのニーズを敏感に汲み取り、様々な付加価値を導入して、人気を得ています。たとえば、エスプレッソ系のドリンクや自家製のパンやパスタ、日替わりのランチメニューを充実させたり、音楽や雑貨、イベント、オーガニック素材といったプラスアルファーをつけて、他店との差別化を図っています。
女性や若年層の客をつかんでいる店は「カジュアルさ」を全面に打ち出している。
◎カジュアルなカフェ
女性をはじめとした若年層が、息抜きに、ランチに、また軽くお腹を満たしてちょっと一杯飲むために、と様々な用途で利用し始めたカフェ。テレビやグルメ雑誌をはじめとする情報誌のカフェ特集もブームに一役を買っています。デフレ下で、飲食店の平均客単価は下がる傾向にありますが、カフェはランチタイムで1000円前後、ディナーやアルコール需要がある夕方移行では、1500~2000円当たりが相場となっています。
つまり、女性客やサラリーマンは、節約するところはする一方で、カフェというお店に魅力を感じれば、それだけのお金を払ってリピーターとなって定着してくれます。いや流行ってるカフェは、多かれ少なかれこれらの女性や若年層の支持を得ているお店です。では成功している店が、彼らを惹き付けている要素は、いったい何でしょうか?
「女性が一人でブラリと立ち寄って、ランチを食べたり文庫本を読んでいても、違和感なくくつろげるカジュアルな雰囲気作りがカフェには欠かせません」つまりこれら開業を考える場合、自分のこだわりと、この「カジュアルさ」を結び付けて、どうお店を演出するかを吟味して下さい。
たとえば、「スポーツ新聞、有線放送、おしぼり」といった過去の喫茶店像。そのレトロな雰囲気を逆用して、現代ふうなカジュアルさをプラスしてみます。
仮に昭和30~40年代ふうにこだわるならば、タイル壁や当時の什器を取り入れ室内は木目調に。メニューはオーガニック素材を中心に構成。音楽はボサノバやラテン音楽を流し、若いフロアスタッフが明るい接客を心かければ、気軽に入店できる雰囲気が作れます。繁盛するカフェのお店が醸し出しているのは、この「カジュアルさ」なのです。
カジュアルさを売りに女性客や若年層をメインのお客さんにするのがカフェの基本といっても、もちろんお店ごとに差はあります。住宅地では家族連れや年配のお客さんの比率が高い場合もありますし、オフィス街などでは、40~50代のサラリーマンがおもなターゲットになるケースもあります。
2015年6月27日
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