飲食店経営という仕事
2015年6月24日 飲食店で成功するための第一歩は、「飲食店経営がどのような仕事なのか」をきちんと認識することです。飲食店を取り巻く環境とリスクをきちんと把握しておきましょう。
◎飲食店経営の現実
飲食店経営というと「誰でも簡単に始められる」「簡単に儲かる」などと思われがちです。しかし、実際は非常に苦労が多く、厳しい仕事です。そう簡単には儲かりません。儲かったとしてもその額はさほど大きくはならないのが普通。しかも労働集約的な仕事ですから、効率を上げるにも限界がありますし、一人の顧客が払う代金もそう多くは望めませんね。また、比較的簡単に改行できるのは事実ですが、それだけに新規参入者も多く、面白い商品やサービスを開発してもすぐに真似をされてしまいます。そして、その商品の寿命も近年は非常に短くなっているのが現状。
飲食店のリスクは、それだけではありません。たとえば、近所に競合店ができて、売り上げが一気に半減するなどということも日常茶飯事。食材不安が社会的ニュースになったりすると、その食材をメインに扱っている店舗では、お客がまったく来なくなるなどということも起こりえます。
国民生活金融公庫の調査によると開業後5年以内の廃業率は全業種で15.4%だそうです。その中でも「飲食店」の廃業率は24.1%でした。開業しても、4人に1人は5年以内に廃業しているというわけです。しかもこの数字は、あくまで「廃業した店」の数ですから、「順調に利益を上げている店」の割合は、さらに少なくなるはずです。
このように、飲食店経営とは、参入こそしやすいものの、非常に成功率の低い仕事であり、リスクの大きな挑戦なのですね。まずは、そのことをしっかり認識することが、成功への第一歩となります。
◎経営のリスク
経営 | 多額の初期投資が必要 | 最低でも500万円以上の費用がかかるのが一般的。店舗内容によってはさらに多くの投資が必要なことも。 |
---|---|---|
売上限度がある | 店舗面積、客席数、客単価、営業日数、厨房生産能力、売れる時時間帯など制約があるため、売上高に限度がある。 | |
システム化が困難 | 仕事のほとんどは「人の手」により行われているため、工場のような機械化やシステム化が難しい。 | |
利益率に限度がある | 上述のような飲食店の基本的経営体質上、10%を超える営業利益率はなかなか得られない。 | |
労力 | 長時間労働 | 長時間労働で立ち仕事。かがむ、振り向く、背伸びするなどの動作が伴うため、肉体的に非常に厳しい。 |
休めない | 休めば売上なし。年末年始・GW・夏休みも仕事であることが多いので、家族の理解が必要不可欠。 | |
市場背景 | 市場は縮小傾向 | 外食産業の市場規模は1997年ごろから年々縮小傾向。今後も市場拡大は期待できない。 |
社会環境の厳しさ | 人口減少。少子高齢化、景気の不安定さなど、飲食店を取り巻く環境は厳しい。 | |
競争の激化 | 縮小市場にもかかわらず、新規出店数は増大傾向。若い世代の独立志向など、今後は過当競争の時代に。 | |
成功確率 | 50%の成功確率 | 新規に開業した飲食店のうち、開業後5年以内に4店中1店が廃業。そのうち利益計上できている店舗は、70%以下という調査結果も。すなわち、飲食店を開業して成功している人の割合は50%となる |
2015年6月24日
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