アジアの料理道具
2014年9月22日
ベトナムのせん切包丁、タイの石うす、中国の土鍋、韓国の石鍋などアジアのスグレものの料理道具をご紹介します。
せん切り包丁
ベトナムではこんなスグレモノが使われています。どこがスグレれているかというと。たとえばにんじんを左手でがしっとつかみ、右手にせん切り包丁をにぎり、シャッシャッとかき取るようにして勢いよく下方へ動かす。と、細かいせん切がたちどころに完成。味わってみてさらに納得!調味料の味がよくしみて、野菜の持ち味がぐーんと引き立っているんです。
これはかき取るようにして「切る」から繊維がほどよく壊れ、味がよくしみ込むから。また、真ん中がふたつにわれている方は薄切包丁。これも野菜を手に持ち、刃と刃が合わさっているところを素材に当てて切ると、アラ不思議。どんどん薄切ができていきます。また板いらずの便利なお料理道具。
石うす
タイの台所仕事は、この石うすがなければ始まらない。うすは「クロック」、つき棒は「サーク」といいます。刺激的な辛さの唐辛子プリックやにんにく、こしょうやフレッシュなスパイスを放り込み、コツコツ軽やかな音を響かせてたたく。そこへナンプラーやライムの汁を注いで混ぜれば、ドレッシングやたれの出来上がり。
いってみれば、まな板とボールの役目も果たしてくれるのだから、そりゃぁとても便利。たたくことによって香りが勢いよく立ち、料理の風味も格段に高まります。「クロックのいい音が立てられるようになったら、料理の腕は一人前。」そんな言い方だってあるくらい、タイの主婦にとって一番大事な料理道具なんです。
土鍋
中国では土鍋のことを「砂鍋(サーグオ)」といいます。「砂鍋」で作った煮ものやスープのおいしさといったら、そりゃぁもう!ことことじっくり、土肌を通して伝わる柔らかな熱のあたりは、料理においしい魔法をかけてくれます。中国でもアルミやステンレスの鍋はずいぶん普及していますが、「それでも「ここ一番!」というときは、みんな砂鍋を取り出しておいしいひと品に時間と手間をかけるのです。
ことこと鶏一羽煮込んだり、クレソンのスープを煮たり、たっぷり時間をかけた料理は、たくさんおなかにおさめなくても満足感はひときわ。不思議です。砂鍋は、そんなとびきりの食卓の幸福を運んできてくれます。
石鍋
石鍋で炊いたご飯のおいしさといったら、もう!ふっくらつんつんに炊き上がって、噛むほどに米の滋味がじんわり広がる。どんな道具でも、この特別のおいしさにはかないません。底にできたおこげのおいしさも感涙もの。米に栗やなつめをのせ、この石鍋でご飯を炊く「栄養ご叛」(ヨンヤンパプ)は韓国の人々の大好物ですが、中でもとびきりおいしいと評判なのは、韓国一の米どころ利川(イチヨン)。ご飯を取り分けたら底のおこげにたっぷり水を注ぎ、食事の最後におこげ湯「スンニュン」を飲む。香ばしい風味がやさしく胃をなだめてくれ、最高の締めくくりに。さて覚えておいて。石鍋を手に入れたら塩を入れた熱湯でゆで、全体に油を塗って補強するのが肝心のお手入れ法なんですよ。
2014年9月22日
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